国語教育と児童文学とのあいだ (宮川健郎  1993)

 

序章   文学作品の教材化とは何か

第一章  「児童文学教材」と「現代児童文学」のあいだ

第二章  教科書の中の児童文学

第三章  賢治童話と読者

 

 宮川先生とは教科書編集でご一緒させていただいた時期がある。いつも非常に役立つ絵本や児童文学のお話を伺えた。ある日いただいたこのご本にもそういった数多くの児童文学に関する情報が記されている。    

 しかしそれ以上に、小学校の教科書の中に収められてきた教材の本当の価値や意義を改めて実感させられた。私なんかは教育学を専門にしているため、どうしても教材論の方が弱く、特に児童文学というジャンルは文学以上に難しさを感じていた。    

 本書は、小学校の教師なんだけれども実は児童文学のことは余りよく分からない、という方にはおすすめである。書く教材の歴史的経緯などの情報とともに、児童文学を「読む」ということはいったいどういうことなのかと言うことを改めて学ぶことのできる良書である。