脳はこうして学ぶ

 学習とは何か。できなかったものができるようになるとか、しらなかったことを知ったとか、わからなかったことが分かった時に学習が成立すると考えられやすい。小さな子供が新しい世界を開くようなこれらの瞬間が学習だとするならば、私たちはずいぶん小さいときに学習を終えてしまっている。

 本書は、そうしたゼロからの変化を学習と呼ぶのではなく、AからBへの変化を学習と呼ぶ。

 

 「学習とはメンタルモデルのパラメーターを調節することである」といわれるとああそうだなあと思う。「学習はエラーを最小化する」といわれるとその通りだと思う。

 脳が変容していくプロセスは、意識への働きかけで生じる。誰に働きかけられるのか、いつ働きかけられるのか。脳の機能が変容するのは何が実際に変化しているのか、神経系の問題なのかそれとも元子となる部位や要素の問題なのか。

 いずれにしても、学習が意識の問題だけではなくもっと生理学的な要素の縛りを受けているのだとしたら、学校教育における学習というものはどうあるべきなのか、ということを改めて考えさせられる書物であった。