自己調整学習の実践  (シャンク&ジマーマン 北大路書房 2007)

目次

第一章 学習調整の自己サイクルを形成すること

第二章 書き行動と自己調整

第三章 小学校段階での理解方略の相互交流による教授

第四章 大学生が自己調整f学習者になるための教授

第五章 統計学における自己モニタリング・スキルの指導

第六章 コンピュータ技術の自己調整学習スキル取得への貢献

第七章 小学生を対象としたモデリングによる数学スキルについての自己調整の指導

第八章 学習障害をもつ学生の自己調整学習を促進する「内容の方略的学習」法

第九章 オペラント理論の青年期における自己モニタリングへの応用

第十章 学習課題における子どもの自己調整の獲得と実行に影響する要因

第十一章 結論と展望

 

概要

 最も効果的な学習方法は自らが見通しを持って計画的に学習することである。そういう風に考えると今から三十年ほど前から、世界各国で「自己学習力」の育成が進められてきたことと重なる。しかしながら、ポールラングランが指摘した「自己学習力」とは、いわゆる「生涯学習」であり、小学生や中学生が大人になっても学び続けていくことができるためのレール敷きであった。

 現在、ジマーマンやシャンクといった心理学者が注目している「自己調整的学習」とは、小学生や中学生が今現在の学習に対して、自己調整的であることが、現在の学習を効果的にすると考えるものである。実はこういった考えを私も数年前から感じていた。現在、育成が重視されている各教科における「言語力」の育成も、語彙のレベルでは、各教科の学習に対して学習者が理解を深めるために必要であると考えると、自己調整力の育成につながっている。

 「今何のために何をどのように学習しているか」、という点に関する理解が深まることは重要なことだということは多くの方が賛同していただけると思うのだが、具体的にどのように日々の授業の中に組み込んでいくのかという点については現在課題となっているところである。

 本書は、学習者の自己調整力を高める実験や試みを示している点で面白い一冊だ。