質問力ノート  (ルパート・イールズ=ホワイト ディスカバー・トゥエンティワン 2004)

目次

第一章 よい質問が人に行動させる

第二章 会話に必要なのは「よい話し方」ではなく「よい聞き方」だ

第三章 よい質問は5W1Hを使ってつくる

第四章 質問することで説得できる

第五章 質問することで自分の意見を主張できる

 

概要

 コーチングについての紹介は、2番の書籍に続き二冊目である。授業における学習者との対話力を教師が向上させることが求められているのは言うまでもないが、それは、思考力や認識力など、学習者の内面に形成される目に見えない重要な力を育成する方法として、教師と学習者の対話が必要であると考えられているからである。  

 それゆえにアドバイジングやファシリテーションの技術などを教員研修で身につけていただく機会を設ける事も多くなってきたように思う。 本書は、ビジネス書であるが故に、書かれている内容やその筆致は教育関係の書籍とは違うが、それゆえに具体的で明日からでも使えそうな技術(スキル)が言語化されている。  

 キーワードになるのは「オープン・クエスチョン」なる概念だが、言われてみれば、開かれた問いが学習者自身の活動や思考を導く効果を持っていることは納得する。翻って、日々の授業では逆に「閉じた問い」ばかりを投げている自分にも気づく。  

 幅のある解答を避けることが発問の精度といわれていた時代は確かにあったが、それと同時に、幅のある解答を求める発問が今求められている。開かれた問いを効果的に配置することで、学習者の学習への関与を高め、指示に従うだけでなく、課題に対して自らがどうしたらよいのかということを追求する事を求める事が可能となる。